新年のご挨拶。Bonne année 2025 !

旧年中は、ありがとうございました。今年の抱負はないかもだけど、昨年のまとめを。。あ、でも、このニュースレターは続けたいです(笑)本年もどうぞよろしくお願いします。
平中悠一 2025.01.03
誰でも

新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は本当に久しぶりに書籍を出版することになり、判りやすい成果の残せた年になりました。

内容としても、『シティポップ短篇集』は80年代日本の都会小説をグループ化して文学史的に位置づけ、博士論文『「細雪」の詩学』は、2005年の渡仏以来、僕が何をしてきたか、その総まとめといえるものでもあります。

『「細雪」の詩学』については、日本の主流的な文学論、著者のいいたかったこと(書かれていないこと)・著者が隠蔽している(抑圧している)ことを推察し、説得的に主張する、論者の言説の冴えを競う、というものではなく、

テクスト自体に明示的に書かれている(現に書かれてしまっている)ことを、理論分析に依拠することで反証可能なかたちで論証する、というもので、

従来の、いわば書き手の「本音」を探ろうという、作家自身の内面論ではなく、テクストに書いてあること(テクストがいってしまっていること)をまず客観的に読む、という僕の文学に対するスタンスを普遍化するものでもありました。

僕としては、現時点で、自分に可能な貢献は、もはやこれで十分果たしたと思っています。

あとは、これを生かすも殺すも、日本の皆さん次第なので、お任せします。どうぞご自由に、ということろです(笑)

***

今年はこの博士論文のスピン・オフとして、ノン・コミュニケーション理論で文学テクストの読み方の「可動域」がどのくらい広がるかの具体的な一例を示す、ヴァージニア・ウルフと谷崎、賢治を例に論じたペダゴジックな小論文が春に出てくる予定です(査読通過済み・笑)。

その後適切な発表先がもしもあれば、ほかにもペダゴジックな小論文で書きたいと思っている内容もまだありますが、そのあとは、『「細雪」の詩学』よりも先の話になります。

ですので、その先のレヴェルへ行けるかどうかは『「細雪」の詩学』がまず理解されるかどうかにかかっているように思います。

というわけで、今年はのんびり、読みたい本を読んで、聴きたい音楽を聴いて、そこよりさらに進めるものかどうか、静観しようと思います。

あとは、できるだけこのニュースレターは配信していきたい、というのが年頭の希望です。

小論文が出たら、ニュースレターでもお知らせします。

では、本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

みなさまにとって、今年が昨年よりもよりよい年になりますように!

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