核抑止論とダブル・バインド

これもまた、80年代の“オーパーツ”? 昔だったら、あるいは説明しなくてもよかったこと...。
平中悠一 2024.12.28
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ダブル・バインドは、80年代には知的な好奇心の少しでもある人なら誰でも、とくに人文学に興味がなくても知っている、非常にポピュラーな概念だったのではないだろうか。しかしこれもまた、80年代の“オーパーツ”、謎の遺物となっているのかもしれない(笑)

80年代の一般的な常識レヴェルで簡単にいうと、それは矛盾した命令が与えられる状況で、どちらにも従うことができず、そこから逃れられない場合(命令を無視できない場合 e.g.親子関係がある場合など)精神が病んでしまう危険性がある。と理解できる。が、こういう豆知識は一般にはすでに忘れ去られているのかもしれない。

そう思ったのは先日立憲民主党?の議員が、闇バイトで逮捕された若い人のアンケートで「生活保護を受けるよりマシだと思った」という回答が複数あったという話で、「自助努力をしようというのは素晴らしいことじゃないですか。しかしそれがどうしても駄目なときには恥じることなく生活保護の申請ができるようにするべきです」と、コメントしたという話を小耳に挟んだからだ。

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