80年代はなぜ«消された»のか?(テスト②)
今回は、山崎『柔らかい個人主義の誕生』の論点をコンパクトにまとめ、山崎が理論的に捉えた«80年代の夢»とはどんなものだったか、一気に押さえます。内容濃いけど、後でフォローします;)
平中悠一
2024.11.30
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『柔らかい個人主義の誕生』まとめ(ザクザク版)
山崎正和『柔らかい個人主義の誕生』には一体どんなことが書かれていたのか。まず簡単に「まとめ」のかたちでそのディスクリプションを行ってみる(その後、さらに噛み砕いていく):
西欧から輸入された、産業中心の社会から、「脱産業化社会」への転換を、本家の西欧との比較においても、もっとも尖鋭的にたどりつつあった(と見えた)当時、80年代の日本において、従来の個人主義、近代西欧に代表される、目的追求型の「プログラム的」な個人主義(山崎のいう「硬い個人主義」)に対し、目的ではなく、目的追求の過程を「消費」として楽しむ両義的* な「柔らかい個人主義」が生まれる可能性を論じ、この新しい「個人主義」の概念を、山崎は日本固有の文化史のなかで普遍化する。