〈ナラティヴ〉と「ストーリー」はどう違うのか?

今回はまた文学の話ですみません。最近時事用語化している〈ナラティヴ〉。研究者として、気になる点をもう少しだけ。前回のフォローアップです;)
平中悠一 2025.03.31
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また文学理論よりの話で恐縮ですが(笑)

以前にニュースレターに書いた「〈ナラティヴ〉と〈ディスクール〉はどう違うのか?」をもとに、HPにまとめた「〈ナラティヴ〉とは何か?——〈ディスクール=言説〉との違いから」。あとになって読んでみると、まず最初に、

もちろん単純には、この「ナラティヴ」を「物語」と考えてもある程度まではいいわけです。[...]実用英語、AI翻訳のレヴェルでは、これで十分なのでしょう。しかし少し考えはじめたら、日本語の「物語」と英語の“narrative”は同じものなのか? 英語の中でも“narrative”と“story”は同義語と考えていいのか??など、いろいろモヤモヤしてきます。

と、“story”、既に日本語の一部となっている「ストーリー」との違いにも言及しながら、〈ディスクール〉との違いの話になって、そちらについては結局、回収していませんでした(笑)

これは「ストーリー」ということばがナラション理論やナラトロジーでは、それ自体としては厳密に定義できず、一般的な英語の話、つまり僕の専門研究外の話にそれてしまうこと、

さらに、ナレーション理論からストーリーとは?と考えると、わりと些末というか、「そんなのナレーション分析をやってる人にしか興味ないんでは??」と思える用語の話になってくるので(笑)

おそらく無意識に(笑)そのへんはスルーしてしまった、ということだと思います...。

しかし現在の〈ナラティヴ〉という語の日本での使われ方は、やはり非常に遺憾というか、残念というか、

〈ナラティヴ〉ということばが本来は持っている力を使い切っていない、勿体ない使い方をされている、と思いますので、問題の、前回書き落とした部分から、もう一度この〈ナラティヴ〉ということばに、できるだけ判りやすく、再アプローチしてみたいと思います。

***

まず、前回回収し忘れた(?)「ストーリー」と〈ナラティヴ〉の違いを一般的な英語から見ていくと、(「ストーリー」は一般的な語で〈ナラティヴ〉は専門的な術語としてみているので、それぞれ異なった括弧を使っているわけですが;)

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